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Q.最近入社してきた新人スタッフの髪の毛の色の
明るさが気になるんですけど、どうしたら良いですか?
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A.髪の毛の色に限った事ではありませんが、これからの人材教育に
おいては「曖昧な表現」はNGです。ですから
「しっかりと」
「ちゃんと」
「頑張る」
「常識に相応しい」
「空気を読んで」
などの表現を使った上での教育や指示は上手くいかない
という事です。
ではどのような表現を使って、新人教育を
していけば良いのでしょうか?
その問題を解決してくれるひとつの考え方が
「MORS(モアズ)の法則」というものです。
「MORSの法則」とは、別名「具体性の原則」とも呼ばれ、
以下の四つの条件から成り立っています。
Measured・・・計測できる
Observable・・・観察できる
Reliable・・・信頼できる
Specific・・・明確化されている
つまりこれらの条件を兼ね備えた教育や指示は、
特定の行動をしているかどうかを、誰が見ても分かるという事です。
「仕事を頑張る」よりも「患者が医院に入ってきたら、イスから立って
挨拶している」という方が、誰が見ても同じ行動として評価出来ます。
このような表現で教育、育成、指示をしていく
必要があるのです。
このように考えると、身だしなみというのは主観的評価が
介入しやすい領域です。
つまり「●●さんから見れば@@さんの髪の毛の色は明るい」
しかし「@@さんは特に自分の髪の毛の色について、明るいとは
思っていない」というようなことです。
そのようなことが起こらないように、医院としての基準を定め
マニュアルを作る必要があります。
これから身だしなみマニュアルの具体的な
作り方についてお伝えしますが、マニュアルを作る上で
最も重要なのは「スタッフの理解を得ること」です。
スタッフの理解を得ないままに院長や院長夫人で
マニュアルを作り、
「これ、うちの医院の身だしなみマニュアルだから
読んでおいて」
なんて事をしてしまった日には大変です。
確実にそのマニュアルは生かされませんし、信頼関係の
崩壊にも繋がりかねない原因になりますので、マニュアルを
作る上では
「何のためにマニュアルを作るのか」
「マニュアルを作る事で、既存スタッフにとって、
医院にとって、どのような良い事があるのか」
「マニュアル作りに協力してほしい」
これらの事をしっかりと伝え、理解を得る事が
大切です。それをご理解した上で、以下からの
身だしなみマニュアルを作る流れをお読み下さい。
その1:マニュアルに掲載する項目をピックアップする
まずはマニュアルに掲載する項目をピックアップします。
例えば、
・髪型
・髪の毛の色
・メイク
・爪の長さ
・アクセサリーについて
・名札を付ける位置
・靴下の色について
このように項目を挙げます。
その2:当院での基準を決める
「その1」で挙がった項目に対して、当院では
どのようにしていくのかという基準を、ミーティングなどで
決めていきます。
これは完全にスタッフに丸投げするという意味ではなく
「ここは譲れない」という事があるのであれば、例えば
「うちの医院では仕事中はピアスやネックレスは
着けないで欲しい」
という事はしっかりとお伝えした方が良いです。
このようにしないと、院長が求める基準よりも甘い基準に
なってしまう可能性があるからです。
その3:「良い例」「悪い例」の写真を撮る
当院での基準が決まったら、スタッフにモデルとして
協力してもらい「その1」で挙げられた項目についての
「良い例」と「悪い例」の写真を撮ります。
その4:身だしなみマニュアルを完成させる
身だしなみマニュアルの中に「その3」で撮った
写真を挿入していきます。
wordでマニュアルを作成する場合(殆どの場合、
wordだと思いますが)、メニューバーの
「挿入」→「図」→「ファイルから」→「写真が保存してある
場所(マイピクチャ、マイドキュメントなど)→「挿入」
で写真が挿入出来ます。これで身だしなみマニュアルは
完成です。
その5:まずは既存スタッフ間で浸透させる
出来上がった身だしなみマニュアルを既存スタッフに配布し
マニュアルの通りに実践、定着を図る事が大切です。
いくら新人スタッフに身だしなみマニュアルを
渡したとしても、先輩スタッフがマニュアルとは
異なる身だしなみをしていたら、新人スタッフもいずれ
マニュアルを破る事になります。
そうなってしまうと、マニュアルを作った
意味が無くなってしまうので、決してそのように
ならないように注意して下さい。
私のクライアントでは朝礼時にペアになって
それぞれの身だしなみをチェックし合っている医院も
ありますので、そのような取組みもオススメです。
その6.入社初日に身だしなみマニュアルを渡す
新人が入社したら、初日に「これが当院の身だしなみの
基準ですので、今日以降はこのマニュアルに沿うように
して下さい」とマニュアルを渡しながら伝えるように
して下さい。
身だしなみに限りませんが、当院で働いていく上で
大切なメッセージほど、最初に伝える事が重要です。
後になればなるほど
「そんな話は聞いていない」
「今頃になってそんな事言われても...」
「何でもっと早くに言ってくれなかったのか」
という反応になる可能性が高まります。
そのような悲劇にならないためにも、入社してから
早ければ早いほど、大切なメッセージは伝えるようにして下さい。